2026/07/17 22:21
MA-1は、アメリカ空軍がジェット機のパイロット向けに採用したフライトジャケットです。MIL-J-8279という軍規格に基づいて作られており、この規格は1950年代に制定されたとされています。それ以前に使われていたB-15フライトジャケットの後継にあたり、B-15の毛皮襟がヘルメットや酸素マスクの装着を妨げていたため、MA-1では動きやすいニット襟に変更されたと伝えられています。素材もB-15のコットンから、より高機能なナイロンへと移行しました。その後も規格改訂を重ねながら長く使用され続けました。
規格番号の改訂記号(MIL-J-8279)
MA-1のタグには「MIL-J-8279」という規格番号が記載され、改訂のたびにA・B・C…とアルファベットが加わっていきます。1978年発行のF、1988年(1990年に追加改訂)のGが大きな改訂として知られています。タグの記号を確認できれば、その個体がどの改訂段階の仕様に基づくかの目安になりますが、記号だけで製造年を1年単位まで絞り込むことはできません。
裏地のオレンジ化
現在よく知られる鮮やかなオレンジのリバーシブル裏地は、初期から備わっていたものではなく、1960年代半ばの規格改訂(D)以降に採用されたとされています。遭難時に表裏を反転させ、視認性の高い色で位置を知らせる目的があったと伝えられています。裏地の色や生地の質感は年代を推測する手がかりの一つです。
ジッパーメーカーの刻印
前立てのジッパーに刻印されたメーカー名(クラウン/タロン/スコーヴィルなど)も、年代の手がかりとして語られることがあります。ただし供給時期については資料によって差があり、ジッパーは修理・交換されている個体もあるため、当店ではジッパー単独で年代を断定することはせず、参考情報の一つとして扱っています。
契約番号(DSA/DLA)の表記
軍で使用された衣類のタグには、調達を担った機関の契約番号が記載されていることがあります。1962年から1977年まではDSA(Defense Supply Agency)、1977年以降はDLA(Defense Logistics Agency)の名称で管理されており、番号に含まれる数字から契約年の目安を読み取れる場合があります。ただしタグの摩耗や交換で判読できない個体も多く、当店では確認できた範囲のみを記載します。
縫製・ラベルの書式変化
サイズ表記や取扱い注意を記した内側のラベルも、時代によって書式が変わっています。これらは補助的な手がかりであり、単独で年代を断定する根拠にはしていません。
MA-1は軍への納入品である「実物」と、退役後に流通した放出品、そして民間ブランドが同型を市販用に製造した「民生品」が混在して流通しています。たとえばアルファインダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)は1959年創業のアメリカのメーカーで、1963年にMA-1の軍納入契約を獲得し、主要な製造元の一つになったとされています。同社はその後、ベトナム戦争終結後に退役軍人がジャケットを持ち帰ったことなどを背景に民間市場向けの生産も手がけるようになり、軍納品と民生品を区別する目的でロゴ表記が変わっていったと伝えられています。実物と民生品ではタグの表記が異なるため、当店では確認できた範囲で「実物」「民生品」の別を記載し、判別できない場合は無理に断定しません。
複数の手がかりを組み合わせても、古着の製造年を1年単位で確定することはできません。当店では「50s」「60s」のように10年単位の目安で年代を表記し、根拠とした部位(規格番号・裏地・ジッパー・タグなど)を商品説明に記します。確認できない場合は「年代不明」「実物/民生品の別不明」と正直に書きます。来歴を実際より大きく見せない、という当店の基本的な考え方によるものです。
MA-1は基本形が長く共通しているモデルだからこそ、年代によって着丈や身幅の作りにも違いが出ます。気になる一本があれば、タグやジッパーの写真とあわせて、実寸(着丈・身幅・肩幅・袖丈)もご確認のうえご検討ください。当店では出品する一点ごとに実寸を採寸して掲載しています。
Militaryの出品一覧: https://ib2.base.shop/categories/7439000
