2026/07/17 22:21

古着屋がなぜ複数の国で買い付けるのか、と聞かれることがあります。当店ib2の答えは単純で、国ごとに流れている古着の種類と量が違うからです。冒険をしに行っているわけではなく、品揃えの幅を確保するための仕入れの設計です。三つの経路がそれぞれ何を担っているのかを、事実の範囲で説明します。

パキスタン — アメリカ古着が大量に流れ込む経路

古着の国際流通では、アメリカが世界最大級の輸出国とされ、パキスタンは重量ベースで世界有数の輸入国の一つに数えられます。つまりアメリカから輸出された古着が大量に集まるルートの一つがパキスタンで、当店はここで輸入業者からコンテナ単位でロットを仕入れます。荷は大きな袋に詰められたまま届き、開封するまで内訳は正確にはわかりません。一つのコンテナに数千点単位が入り、ミリタリーやワークウェア系の比率が高い傾向があります。まとまった量と、ワーク・ミリタリーの厚みは、この経路が担っています。

タイ — 東南アジアの集積地で手に取って選ぶ

タイは東南アジアの古着流通の集積地の一つとして知られます。パキスタンのコンテナ買付とは性格が異なり、現地の市場や卸から小ロットで、実際に手に取りながら選びます。様々な年代・ジャンルが混在するなかから一点ずつ状態を見極められるため、コンテナでは拾いにくい種類を選んで補えるのが、この経路の役割です。

日本 — 状態と来歴を確認しやすいが量は限られる

日本国内でも、ヴィンテージ市場や業者を通じて仕入れることがあります。海外買付とは流通経路が違い、状態管理や来歴の確認がしやすいのが特徴です。その一方で流通量には限りがあり、量をまとめて確保する経路には向きません。確実さを担う経路、という位置づけです。

三つを組み合わせる理由

一つの経路だけに頼ると、品揃えがその経路の性格に偏り、在庫の見通しも立てにくくなります。コンテナはまとまった量が入る代わりに中身を事前に選べません。タイは選べる代わりに量は多く出ません。日本は確実な代わりに量が限られます。それぞれの弱点を別の経路が補い合うように組み合わせることで、当店が扱うカテゴリの幅を確保しています。三カ国で買うのは、この補完のためです。

「どこで買ったか」は物語でなく情報

仕入れ地は、その一点がどの流通経路を通ってきたかを示す事実の情報です。当店はこれを「遠い国から取り寄せた特別な一点」といった物語に変えて値段を上げることはしません。「実測はcost、来歴はno cost」という考え方のとおり、測る手間には時間を払いますが、産地や経路を盛って価格に乗せることはしない、という意味です。どこで買ったかは、必要な範囲で事実として記します。

三カ国での買付は、品揃えを設計するための裏側の仕組みです。表側でお伝えするのは、一点ごとの実寸と状態、そしてわかる範囲の来歴だけです。仕入れの経路が三つに分かれていることも、そのうちの一つの事実として置いておきます。

買付の様子の記録は当店ブログ「三カ国買付の記録」に、日々の考えはnoteにも書いています: https://note.com/ib2

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