2026/07/17 22:21
「MADE IN WEST GERMANY」のタグが付いたadidasのトラックジャケットは、ドイツ再統一(1990年)より前に作られた古着の目安になります。ただし実際には日本のデサント製が多く、タグの世代と生産地は分けて読むのが正確です。この記事では、当店が扱ってきた実物の表タグ(ブランド面)を年代順に並べ、70年代から2000年代までの見分け方を写真で追います。

70sデザインの一着。当店が扱ってきた中でも希少な個体です。
まず結論 — タグは2種類ある
① ブランドタグ(表)…adidasのロゴと国名・スローガンが入る面。年代やデザインの世代がわかります。
② 生産のタグ(洗濯表示・ライセンス表記)…どこで作られたかがわかる面。
①だけを見て「西ドイツ製」と早合点しがちですが、実際には②を見るとデサント(日本)などのライセンス生産だった、ということがよくあります。年代と生産地は、両方のタグを合わせて読むのが正確です。
【1970s】トレフォイルと「BRD / W.GERMANY」の表タグ

三つ葉のトレフォイル。1971年に考案され、1972年ミュンヘン五輪の頃からアパレルに使われ始めたとされます。
70年代の個体でよく見るのが、この表タグです。

表タグ「adidas / BRD / W.GERMANY / DIE MARKE MIT DEN 3 STREIFEN / GRÖSSE SIZE 6」。BRD=西ドイツ、下段はドイツ語で「三本線のブランド」の意味。
「BRD/W.GERMANY」と入っているので、つい「西ドイツ製」と思ってしまいます。1990年のドイツ再統一以降は「WEST GERMANY」という国名自体が使われなくなったので、この表記は古い年代の目安にはなります。ただし——これは生産国ではなく、adidasというブランドの表示である点に注意が必要です。次の一着で、その理由がはっきりします。
【販売中の一着で検証】表は「西ドイツ」、中身はデサント(日本)
いま販売中のこの水色の一着で、表と裏の両方のタグを見てみます。

販売中の個体(記事末にリンク)。胸にトレフォイルの刺繍。

【表タグ】「adidas / BRD / W.GERMANY / DIE MARKE MIT DEN 3 STREIFEN」。西ドイツのブランド表示。

【生産のタグ】同じ一着の内側。「PRODUCED BY DESCENTE UNDER ADIDAS LICENSE」=デサント社が製造。
同じ一着に、表は「西ドイツ」のブランドタグ、内側は「デサント社が製造」のライセンス表示が入っています。adidasは1970年から約30年、日本向けの生産をデサント社にライセンスしており、この時期の日本のadidasの多くはデサント製(=日本製)でした。「西ドイツタグ」が付いていても、作られたのは日本、という個体は珍しくありません。タグの世代の話と、どこで作られたかの話は、分けて読むのが正確です。
【1980s】フランスでもライセンス生産

80sの個体(過去に取り扱い)。トリコロールの配色。

表タグに「made in France」。フランスでもライセンス生産が行われていました。
ライセンス生産は日本だけではありません。この80sの個体はタグに「made in France」とあり、フランスで作られたことがわかります。同じadidasのトラックジャケットでも、年代によって生産国はさまざまで、「どこで作られた一着か」を読むのもこの時代の古着の面白さです。
【1990s】パフォーマンスロゴへ

90sの個体(過去に取り扱い)。

表タグが山型の「パフォーマンスロゴ」に。トレフォイルではなくこのロゴなら90年代以降が目安。
1990年代に入ると、三本線を山型に組んだパフォーマンスロゴが使われ始めたとされています。トレフォイルではなくこのロゴが入っていれば、少なくとも90年代以降と読むのが目安です。
【2000s】生産はアジアへ(MADE IN TAIWAN)

00sのナイロンウインドブレーカー(過去に取り扱い)。

表タグに「MADE IN TAIWAN」。この頃は生産がアジア各国へ移っています。
2000年代の個体は「MADE IN TAIWAN」など、生産地がアジアへ移っています。またこの頃はクラシック路線でトレフォイルが再び使われるようにもなり、「トレフォイル=古い」とは言い切れなくなります。ここでも決め手は、表タグの様式と生産地の表記を合わせて見ることです。
サイズ規格の読み方
ヨーロッパ規格の個体は、胸囲(cm)を2で割った数値を基準にした偶数サイズ(44・46・48など)で表されることが多い規格です。日本のデサント企画は日本独自のサイズ表を使っており、どちらも現在の日本のS/M/L表記とは基準が違います。タグの数字だけで判断せず、実寸で確認するのが確実です。
当店の表記方針
複数の手がかりを組み合わせても、古着の製造年を1年単位で断定することはできません。当店では、確認できたタグ表記(ロゴ・国名・ライセンス表記)を根拠として商品説明に記し、判読できない部分は「不明」と正直に書きます。年代も「70s」「80s」のように10年単位の目安にとどめ、実際より大きく見せる記載はしません。
気になる一本があれば、タグの写真とあわせて必ず実寸をご確認ください。当店では出品ごとに着丈・身幅・肩幅・袖丈を実際に採寸して掲載しています。
記事中の販売中の個体はこちら: 70s 有原みゆ紀 青 水色 デサント Adidas トラックジャケット M
Adidasの出品一覧: https://ib2.base.shop/categories/7438985
