2026/07/17 19:23

50年代のBurberrys(バーバリー)のトレンチコート。当店で扱ってきた中でも高値の一着で、現在販売中です。この一着には、S/M/Lのサイズ表記がどこにもありません。
古着のサイズ表記は、当てになりません。意地悪で言っているのではなく、作られた時代も国もブランドも違う服が一箇所に並んでいるので、表記の基準がそもそも揃っていないのです。
この記事では、当店の実物タグを並べて「なぜ表記だけでは選べないのか」を見たあと、当店が実際に測っている場所と、手持ちの一着と比べる方法を書きます。
■ まず結論
規格サイズ(S/M/L・W30など)は、時代・国・ブランドで基準が違います。同じLでも中身は別物です。
古着は着用と洗濯で寸法が変わっています。タグの数字は作られた当時の目安であって、いまの寸法ではありません。
平置きで測ったcmだけが、時代も国も超えて比べられる共通言語です。
当店は全品、実寸を測って商品ページに載せています。迷ったら、手持ちのよく着る一着を測って比べるのがいちばん確実です。
【実例】サイズ表記が当てにならない、実物の例
当店のタグ写真を並べます。どれも同じ「サイズ表記」ですが、読み方が全部違います。

記事冒頭のトレンチのタグ。「BURBERRYS/LONDON/MADE IN ENGLAND」。ブランドと生産国だけで、サイズの記載はありません。

同じ一着の襟裏に残っていた紙タグ。「378」。これがサイズなのか管理番号なのかは、この一着だけでは判断できません。少なくともS/M/Lでは書かれていません。
古いコートには、そもそもサイズ表記が無いことがあります。当時は仕立ての現場で通じる数字が振られていれば十分だったのだと思います。買う側からすると、測る以外に手がありません。

「POLO RALPH LAUREN/XL (18-20)/MADE IN CHINA」。XLの横の(18-20)が効いています。

そのタグが付いていたフルジップ。(18-20)はキッズ/ジュニアの年齢帯を指す表記で、大人のXLではありません。
これは実際にサイズ違いが起きやすい表記です。XLの3文字だけを見て買うと、届いてから気づきます。タグの写真が載っていても、括弧の中まで読まないと分かりません。だからこそ、身幅と着丈のcmが並んでいれば一発です。

adidasの表タグ。「GRÖSSE SIZE 6」。GRÖSSEはドイツ語でサイズのこと。数字だけのヨーロッパ規格で、日本のS/M/Lとは対応していません。

Championのリバースウィーブ。「LARGE」の下に換算表があり、CA(カナダ)=L/G、MEX(メキシコ)=G、ASIA(アジア)=2XL。同じ一着がアメリカのLで、アジアの2XLです。
Championの換算表は、規格サイズの正体をよく表しています。服は一着しかないのに、売る国が変わるだけで呼び名が2段階ずれる。LかXLかで悩むより、身幅が何cmかを見たほうが早い、というのがよく分かる一枚です。

WranglerのBLUE BELL期のオーバーオール。白タグに「CHEST 42 REGULAR」。

Levi's 501XXの紙パッチ。「W36 L34」。Wはウエスト、Lは股下のインチ表記です。
「CHEST 42」は、着る人の胸囲42インチ(約107cm)を指す表記です。服の平置きの身幅とは別物なので、そのまま比べられません。デニムのW/Lも同じインチ表記ですが、こちらは実測とずれることがよくあります(後述します)。
【ずれ】タグの数字と実寸がずれる、3つの理由
ここまでは「表記そのものが国やブランドで違う」という話でした。もう一つ、同じ表記でも数字が合わなくなる理由が3つあります。古着で実寸が要るのは、主にこちらのほうです。
・当時の規格が、いまと違う — 1970年代のアメリカ製のLと、1990年代のアメリカ製のLでは、身幅も着丈も違います。時代によって流行のゆとりが変わるからです。タグのLは、その服が作られた年のLでしかありません。
・着られてきた分だけ、寸法が動いている — 綿は洗いと乾燥で縮み、履き込んだデニムはウエストが伸びます。数十年ぶんの縮みと伸びが同じ一着に入っているので、新品当時の寸法に戻して考えることはできません。
・前の持ち主が直していることがある — 裾上げ、ウエスト詰め、袖詰め。古着では珍しくありません。パッチがW36のままでも、実測は別の数字になります。当店ではお直しの跡が分かった場合、商品説明に書きます。
3つとも、タグを見ているだけでは分かりません。分かるのは、いまその一着を測ったときの数字だけです。実寸を載せるのは、この3つをまとめて飛び越すためです。
【採寸】当店が測っている場所

トップスはこの状態で測ります。しわを伸ばして平らに置き、生地は引っ張りません。
ジャケット・シャツ・スウェットなどのトップスは、次の4か所を測っています。
・身幅 — 脇の下から脇の下までの直線。着たときの胸まわりのゆとりに直結します。1cm違うとけっこう変わります。
・着丈 — 襟の付け根から裾まで。フードやフリンジは含めません。
・肩幅 — 肩の縫い目から縫い目まで。肩線が落ちているデザインでは、この数字より実際の肩位置は内側になります。
・袖丈 — 肩の縫い目から袖口まで。ラグランスリーブは肩の縫い目がないので、首の付け根から測ります。

パンツも同じく平置き。前を上にして、しわを伸ばした状態で測ります。
パンツは5か所です。
・ウエスト — 平置きにしたときの幅。胴回りに直すときは2倍します。ゴムや調整タブが付いている場合は、伸ばさない状態の数字です。
・股上 — 前の股の縫い目からウエストまで。浅い・深いの好みが、いちばん出るところです。
・股下 — 股の縫い目から裾まで。
・わたり — 股下すぐの太もも部分の幅。同じウエストでも、ここが2cm違うと印象が変わります。
・裾幅 — 裾の開き。わたりと裾幅の差を見ると、ストレートかブーツカットかテーパードかが数字で分かります。
単位はcm、測り方は平置き。これが当店の共通ルールです。ニットやスウェットは引っ張れば数cm変わってしまうので、生地を伸ばさずに測っています。
【実用】いちばん確実なのは、手持ちの一着と比べること
実寸の使い方でいちばん外れないのは、自分がよく着ている服を床に平らに置いて、同じ場所を測り、その数字と商品ページの数字を比べる方法です。
手順は単純です。①よく着ている一着を、床やベッドの上に平らに置く ②トップスなら身幅と着丈、パンツならウエスト・股上・股下を測る ③商品ページの数字と引き算する。当店の感覚では、差が1〜2cmなら着たときの印象はほぼ同じです。3cm以上開くと、鏡の前ではっきり違って見えます。
体の寸法から服の寸法を逆算するのは、意外と難しいものです。ミリタリーとスポーツウェアではゆとりの取り方がまるで違いますし、同じ身幅でも肩の落ち方でシルエットは変わります。それより「いま着心地がちょうどいい一着」を物差しにするほうが、はるかに速くて確実です。
覚えておくと便利なのは、トップスなら身幅と着丈、パンツならウエスト・股上・股下の数字です。スマホのメモに入れておけば、店頭でもオンラインでも同じ基準で判断できます。当店の商品ページには全品この数字が載っているので、そのまま突き合わせてください。
【デニム】デニムのW表記は、特にずれる
W36と書いてあっても、実測が34だったり38だったりします。年代による規格の違いに加えて、洗いや乾燥での縮み、履き込みによる伸びが重なるからです。ヴィンテージのリーバイスでは珍しいことではありません。
だからデニムこそ、パッチの数字ではなく実寸を見てください。W表記のずれ方や縮みについては、ヴィンテージデニムのサイズ感の選び方(実寸の見方)に詳しく書いています。
【方針】当店の方針
当店は全品、実寸を測って商品ページに載せています。一点物なので同じ数字の在庫は二度と出てきませんが、そのぶん一着ずつ測るしかありません。
状態についても同じ考え方でいます。穴・汚れ・色ムラ・リペア跡は、見える範囲で書きます。古着なのでダメージがあること自体は前提ですが、それを写真から消したり、書かずに済ませたりはしません。
サイズが合わない服は、どれだけ良い一着でも着られません。年代や呼び方より先に、まず数字を見てください。「ヴィンテージ」という言葉の中身については、古着とヴィンテージの違いとはにまとめています。
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写真はすべて当店で撮影した実物です(過去に取り扱った個体を含みます)。掲載価格・在庫は記事作成時点のものです。
2026年7月、実物のタグ写真を加えて全面的に書き直しました。
