2026/07/17 19:24

日本企画の569。パッチと内タグの表記はW36 L30で、写真は平置きの全体です。この表記が実寸とどう違うのかを、以下で見ていきます。
ヴィンテージデニムを探すとき、W30・W32といった表記を手がかりにする方は多いと思います。ですが古着のデニムでは、この表記と平置きの実測値が一致しないことがよくあります。理由は大きく二つです。表記の基準が一つではないこと、そして生地が縮んだり伸びたりすること。この記事では、当店が出品時に撮っている実物のパッチとタグの写真を見ながら、ずれが起きる理由と、実寸5箇所の読み方を説明します。
■ まず結論
W表記は、そのモデル・そのブランドの基準で付けられた番号です。仕上がりの実寸そのものとは限りません。
同じW34でも、モデルや生産国が違えば平置き実寸は一致しないことがあります。
頼れるのは平置き実寸です。当店は出品時点の実測値を、そのまま商品ページに載せています。
【理由①】W表記がずれる理由① — 基準が一つではない

当店の実物。紙パッチに「501xx」「W36 L34」。Wがウエスト、Lがレングス(股下)で、単位はインチです。

こちらは革パッチに「505®」「W 34 L 29」。型番とサイズが同じ場所に並びます。
リーバイスの場合、腰の後ろに付くパッチに型番とサイズが並んで印字されます。ここに出てくるWとLは、その一本に与えられた規格の番号です。裁断・縫製の仕様や生地の縮率が違えば、同じ番号でも仕上がりは同じになりません。
これはヴィンテージに限った話ではありません。2010年に米Esquire誌が現行の男性用スラックスを実測した結果として、「W36」と表示された品の実際のウエストが37〜41インチにばらついた、と報じられています。表記と実寸のずれは、古着だけの特殊な現象ではない、ということです。

内タグに「W36 L34」、下に「MADE IN U.K.」。サイズが書かれる場所は、パッチだけとは限りません。

MADE IN MEXICOの569。内タグに「569® LOOSE STRAIGHT」「W36 L30」。型番・シルエット名・サイズが1枚に並びます。
生産国が変われば、タグの様式も変わります。イギリス製の個体では内タグに数字の列とW/L表記、メキシコ製の569では内タグにモデル名とシルエット名まで入っていました。どこに何が書いてあるかは一定ではないので、当店ではパッチ・内タグ・ケアタグを一通り撮って、読み取れたものだけを商品ページに載せています。
【理由②】W表記がずれる理由② — 縮む、そして伸びる
デニムは綿の織物なので、水に通せば縮みます。そこで古くから使われてきたのが防縮加工で、タグに「SANFORIZED(サンフォライズド)」と入っているのがその表示です。1930年にサンフォード・L・クルーエットが特許を取得した加工とされ、生地をあらかじめ縮ませてから裁断することで、洗ったあとの縮みを抑えます。

Leeの内タグ。「Lee ®M.R. / SANFORIZED / PATD-153438 / UNION MADE IN U.S.A.」。防縮加工の表示があります。

BLUE BELL(Wranglerの旧親会社名)の織りネームにも「SANFORIZED」。ブランドを問わず使われた表示です。
防縮加工をした生地でも縮みがゼロになるわけではなく、残る縮みはおよそ1〜3%、未加工(いわゆるシュリンク・トゥ・フィット)では10%前後とされます。W34のデニムなら、数字の上では1インチ前後動く計算です。
そして古着の場合は、その先があります。何十回も洗われて縮んだあと、着用でウエストや膝が出ている個体もあります。防縮加工の表示があっても、経年と洗濯で寸法は動いた後だと考えるほうが実際に近いです。だから当店は、タグの表記ではなく、出品時点に測った数値を載せています。
採寸5箇所の読み方

ウエストは平置きにしてベルトの端から端まで。股上はベルト上端からクロッチ(股の縫い目)まで測ります。

全体を平置きにすると、わたり幅と裾幅の差が見えます。この差がシルエットの正体です。
・ウエスト … 平置きでベルトの端から端まで。2倍にすると一周の目安になります。当店の掲載値は平置きの実測値です。
・股上 … ベルト上端からクロッチまで。同じウエストでも、ここが深いか浅いかで履き位置と見え方が変わります。
・股下 … クロッチから裾まで。裾上げ済みの個体もあるので、当店は現状のままの数値を載せています。
・わたり幅 … 股下すぐの、腿の一番太い部分。腿まわりの余裕はここで決まります。
・裾幅 … 裾の開き。わたり幅との差が小さければストレート、裾幅のほうが狭ければテーパード、広ければブーツカット寄りです。
5箇所のうち、履いた印象を大きく左右するのはウエストと股上です。裾幅とわたり幅は、シルエットの好みを合わせるための数値だと考えると選びやすくなります。
シルエットは型番が手がかりになる

501。ボタンフライのストレート。当店が80年代のアメリカ製として扱った一本です。

517。膝から裾に向かって広がるブーツカット。裾幅がわたり幅より広くなります。
リーバイスの型番(ロットナンバー)は、シルエットのおおまかな見当をつける手がかりになります。501はボタンフライのストレート。505は前立てがジッパーで、1967年に登場したとされます。517はブーツカットで、ブーツの上に被せる形として1969年に登場したとされます。

550。腰まわりとももに余裕があり、裾に向けてわずかに細くなる型番です。同じ太めでも、569とは裾の落ち方が違います。
550は内タグに RELAXED FIT、569は LOOSE STRAIGHT と、シルエットの名前がそのまま印字されている個体があります。この記事の一番上のヒーロー写真も569で、膝から裾までほぼ同じ幅の太いストレートです。当店の在庫はこの569と550が中心なので、太めを探している方には合わせやすいはずです。
ただし、型番から分かるのはシルエットの傾向までで、年代は決まりません。同じ501でも年代も生産国もさまざまです。型番ごとの違いは リーバイスの型番(ロットナンバー)図鑑 に、年代の読み方は リーバイス501/517の年代判別・完全ガイド にまとめています。
手持ちの一本と比べる — これが一番確実です
実寸の数字だけを見ても、履いた感覚は想像しにくいものです。いま持っているデニムを1本、同じように平置きにして測ってみてください。
・手持ちの一本を平置きにして、ウエスト・股上・股下・わたり幅・裾幅を測る
・商品ページの実寸と並べて、差がどこにあるかを見る
・時間がなければ、ウエストと股上の2箇所だけでも比べておく
・複数の候補で迷ったら、規格表記が近いものより、実寸の差が小さいものを選ぶ
規格サイズは目安で、実寸は採寸した事実です。掲載している数値は採寸した時点のもので、古着は一本ずつ縮み方も伸び方も違います。判断に迷うときは、商品ページからお問い合わせください。分かる範囲でお答えします。
■ 販売中の関連商品・関連記事
写真はすべて当店が撮影した実物です(過去の出品分を含みます)。他店・他人の写真は使用していません。
裏取り: 防縮加工(サンフォライズド)の特許年と残留収縮の目安、W表記と実寸のばらつき(2010年 Esquire誌の実測報道)、505・517の登場年はいずれも公開情報を確認したうえで「とされる」範囲で記載しています。断定できない事柄は断定しません。
2026年7月、写真と実測の解説を全面的に入れ替えて更新しました。
