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2026/10/28 18:32

60s フレンチワークジャケットを買う前に見るのは、ボタンや生地ではなくタグの文字です。洗濯記号があれば1963年以降、5桁の郵便番号があれば1972年以降と、片側だけが言えます。当店には2026年10月28日時点で81着あり、身幅と着丈の実寸で選べます。

文と写真 ib2(青森の古着店) / 2026年10月28日の在庫をもとに作成

SAVOのタグが付いた青いフレンチワークジャケットの全体

SAVO のフレンチワークジャケットの全体。身幅63cm・着丈66cm。

まず結論 — 60年代はタグの文字で「以降」の側から読む

① 当店の「60s」は、タグの文字で確かめた「◯年以降」の側からの、10年単位の目安です。ボタン・生地・縫い方からは、60年代だと言える根拠が当店の資料にありません。
② 言えるのはタグの文字だけ。洗濯記号なら1963年以降、町名の前の5桁の郵便番号なら1972年以降のように、どれも片側だけです。
③ 選ぶときは、年代の表記より先に、身幅と着丈の実寸を見てください。

この記事は、60年代のフレンチワークジャケットを探している方に向けて書きました。フレンチワーク全体の見分け方(ブランドの刺繍タグ・生地・作り)はフレンチワークの見分け方・完全ガイドに、ブランドごとのタグはフレンチワークのブランド図鑑にまとめています。ここでは「60年代」という言葉に絞って、何が言えて何が言えないかを、当店の実物のタグで確かめます。

先に、当店の年代の書き方の約束を書いておきます。年代の手がかりは、どれも片側にしか使えません。「洗濯記号があれば1963年以降」は言えます。けれども「洗濯記号が無いから1963年より前」は言えません。タグは洗濯で消え、切られ、作業着にはもともと付いていないこともあるからです。だから商品名の「60s」は、10年単位の目安として書いています。

① 洗濯記号と組成表示 — 1963年以降・おおむね1960年代以降

BEAU-FORTの青紫のフレンチワークジャケットの全体

BEAU-FORT のフレンチワークジャケット。身幅60cm・着丈72cm。

BEAU-FORTの黒地に黄色の織りタグと、その下の白いタグと黄色のTergalのタグ

内側の織りタグ「BEAU-FORT / LE MEILLEUR DES VÊTEMENTS DE TRAVAIL」。下に白いタグと、黄色の「Tergal」のタグ。

BEAU-FORTのジャケットの白いタグ 丸にPの洗濯記号とSANFORの文字

白いタグを起こしたところ。丸に「P」の記号と「SANFOR」の文字。

60年代の個体を探すとき、いちばん頼りになるのは洗濯表示です。桶や丸の形をした洗濯記号(GINETEXの記号)は1963年に作られたので、記号があれば1963年以降と言えます。上の BEAU-FORT の白いタグには、ドライクリーニングを表す丸に「P」の記号があります。

同じ白いタグには「67% polyester」と、フランス語の組成表示も読めます。フランスで組成の表示を決めた政令は1963年10月25日のもので、1973年3月14日の政令はそれを廃止して置き換えたものです。だから仏語の組成表示があれば「おおむね1960年代以降」までは言えますが、「1973年以降」と切るのは誤りです。反対に、1963年より前に組成を書いたタグが無かったとも言えないので、組成表示だけで「1963年以降」と年を切ることもしません。

黄色のタグの「Tergal(テルガル)」は、フランスのポリエステルの商標です。1954年から作られたので、1954年以降と言えます。ただしテルガルはその後も長く使われたので、テルガルがあるから60年代だとは言えません。「SANFOR」は縮みにくくする加工の商標で、アメリカの商標の記録では、この綴りは1936年から使われています。今も使われている商標なので、上限は出ません。

まとめると、このジャケットのタグから言えるのは「1963年以降」です。商品名の「60-70s」はこれと食い違いませんが、タグだけでは「70年代より後ではない」とまでは言えません。上限を決める手がかりが、このタグには無いからです。

この手がかりも、逆向きには使えません。洗濯記号や組成表示が無いことから「60年代より前」とは言えません。作業着にはもともと洗濯表示が付いていないことも多く、付いていても落ちたり切られたりします。

② 住所と電話番号 — 1963年・1968年・1972年が境目

Le Sans Pareilのタグが付いた青いフレンチワークジャケットの全体

Le Sans Pareil のタグが付いたフレンチワークジャケット。身幅52cm・着丈75cm。

黒地に金色の文字のタグ Le Sans Pareil Déposé VILLEFRANCHE

黒地に金色の文字のタグ「Le Sans Pareil」「Déposé VILLEFRANCHE (Rhô…」。右の端は切れて読めません。

タグや紙タグに住所や電話番号が刷ってあれば、フランスの制度が変わった日から、年の境目が出ます。60年代の前後で効くのは次のものです。

パリの電話番号が英字3文字と数字4桁(交換局の名前を使った形)なら、1963年10月より前の可能性が高い。パリの番号で英字の無い7桁なら、1963年10月以降かつ1985年10月以前。地方の番号が6桁か7桁なら、1985年10月より前です。
住所の県名が「(Seine)」か「Seine-et-Oise」なら、1968年より前の可能性が高い。この2つの県は1968年1月1日に廃止されました。
町名の前に2桁の県番号だけが書いてあれば1964年以降。町名の前に5桁の郵便番号があれば1972年6月以降です。

5桁の郵便番号が読めたら、商品名が「60s」でも、当店はタグのほうを信じます。1972年6月より前に作られたものではない、ということになるからです。

上の Le Sans Pareil のタグには、町と県の名前「VILLEFRANCHE (Rhô…」がありますが、郵便番号も電話番号もありません。ここから年代は出ません。番号が書いていないことは、古い証拠にならないからです。多くのタグは、もともと住所も電話も持ちません。「Déposé」(登録商標)の文字も同じです。フランスでは1857年からの商標法の時代にも、1965年に施行された新しい法律の時代にも、今も普通に書かれるので、年代の手がかりにはなりません。

もう1つ、印刷されたタグは、制度が変わっても在庫が尽きるまで使われます。だから「◯年より前」の側は「可能性が高い」までにとどめ、「◯年以降」の側を強く扱います。

③ 紙タグと刻印 — NFは1960年以降・S.G.D.G.は1968年以前

この記事に載せた個体には、ここで挙げる文字はありませんでした。見つけたら写真を足します。読めたときに使える手がかりだけを先に並べます。

値札が「NF」(新フラン)なら1960年以降です。NFの表記が公式に使われたのはおおむね1963年までですが、その後も残ることがあるので、上限は強く扱いません。
「CEE」「EEC」の表記があれば1958年以降で、1993年11月より前の可能性が高い。ただし国は分かりません。
タグや金具、ボタンの刻印に「Breveté S.G.D.G.」とあり、フランス製なら1968年以前の可能性が高い。ベルギー製には当てはまりません。また、金具やボタンは付け替えられる部品なので、刻印の年代を服全体の年代とはしません。
紙タグに13桁のバーコードがあれば1977年以降で、60年代の個体ではないことになります。
社名の後ろの「S.A.R.L.」は1925年以降で、60年代を絞る手がかりとしては弱いものです。「S.A.S.」なら1994年以降、「SIREN」「SIRET」の番号があれば1973年以降です。

④ ブランドのタグ — 創業の年は下限にしかならない

ブランドの名前から言えるのは「その会社ができた年より後」という下限だけです。タグに刷られた「1844」「Depuis 1927」のような年は、創業の年であって、その服を作った年ではありません。60年代を探すときに知っておくと役に立つのは、次のものです。

Le Laboureur のタグなら1956年以降。それより前には無いブランドです。当店の在庫にも、商品名が「60-70s Le LABOUREUR」の1着があります。
VETRA のタグなら1927年以降。ロゴが青なら1950年代以降です。ただし赤いロゴは今のラベルにも使われているので、赤いから古いとは言えません。
Le Mont St Michel のタグは、1979年以前か1998年以降のどちらかで、1980〜1997年に新品として作られた可能性は低いとされます。ラベルに「Signature de garantie : AA」とあれば1998年以降です。

Le Laboureur・VETRA・Le Mont St Michel は、今も同じ型の新品を作っています。だからブランドの名前だけで60年代とは言えません。当店の資料に社史が無いブランドは、年代の手がかりにしません。ブランドごとのタグはフレンチワークのブランド図鑑で読めます。

⑤ 白いタグと数字 — 年代は出ない

青いフレンチワークジャケットの内側に縫い付けられた白い布タグ

白いタグのフレンチワークジャケットの内側。刺繍の文字は崩れて読めず、右の端に数字。

緑のフレンチワークジャケットの布タグ SONORCO-St JAMES 100/62

SONORCO のフレンチワークジャケットの布タグ「SONORCO-St JAMES 100/62」。

白いタグ、とくに数字だけが入った白いタグのフレンチワークジャケットは、フランス軍の官給品の可能性が高い、というのが当店の現場での見立てです。ただし一次資料での裏付けはまだありません。これは「どこで使われたか」の手がかりで、年代の手がかりではありません。当店の商品名の「フランス軍」も、この見立てを含んでいます。確定ではなく、可能性の高い見立てとして読んでください。

タグの数字に、年のように見える2桁や4桁があっても、年とは読みません。ロットや契約、サイズの番号でありうるからです。上の「100/62」も、1962年と読むことはしません。

フランス軍の服のサイズ表記は、着る人の体の寸法の目安で、服の実寸ではありません。数字だけの2桁のコードは1950年の軍の改革で入った体系ですが、上着とズボンで一の位の意味が違います。当店の実測でも、同じ表記で寸法の違う個体がありました。

また、モールスキンという生地の名前だけで、フランス軍の放出品とは言えません。フランスのモールスキンの作業着(ブルー・ド・トラヴァイユ)は民間のものです。軍のものかどうかは、形とポケットの配置、タグで見ます。

⑥ ボタン・生地・縫い方 — 60年代とは言えない

60年代らしさを、ボタンの素材や縫い方で説明する話はよく見かけます。けれども当店の資料では、どれも年代の根拠になりません。

ボタンの素材(コロゾ・ベークライト・樹脂など)は、壊さずに確かめる方法が無く、付け替えられていることもあります。当店の実物にも、同じ前立てに色の違うボタンが混ざった個体がありました。
生地の織り方(綾織・ヘリンボーン)や畝の太さは、用途と流行で決まるもので、年代は分けられません。
脇の縫い代のロックミシンの有無、Vポケット、襟の形は、当店の資料に年代の根拠がありません。だから年代の決め手にしません。
背中や腰のシンチ(尾錠)は、フランスの作業着では戦後も続き、今の新品にも付いています。シンチがあるから古いとは言えません。

当店の商品ページの説明にボタンや縫い方が書いてあっても、それは見た目の説明として読んでください。年代の根拠は、タグに読めた文字です。

⑦ 50年代・70年代との違い — 分けられるのはタグだけ

50年代と60年代、60年代と70年代を、作りの違いで分ける方法は、当店の資料にはありません。分けられるのは、タグに次の文字が読めたときだけです。

洗濯記号(GINETEX) … 1963年以降
仏語の組成表示 … おおむね1960年代以降
TERGAL(テルガル) … 1954年以降
NF(新フラン)の値札 … 1960年以降
パリの電話番号が英字3文字と数字4桁 … 1963年10月より前の可能性が高い
パリの電話番号が英字なしの7桁 … 1963年10月以降かつ1985年10月以前
県名が(Seine)・Seine-et-Oise … 1968年より前の可能性が高い
フランス製で Breveté S.G.D.G. … 1968年以前の可能性が高い
町名の前の2桁の県番号 … 1964年以降
町名の前の5桁の郵便番号 … 1972年6月以降
13桁のバーコード … 1977年以降
Le Laboureur のタグ … 1956年以降

この一覧で分かるとおり、50年代と60年代を分けるのは「1960年以降」「1963年以降」のような下限の手がかりで、「50年代に作られた」と言える手がかりはほとんどありません。60年代と70年代を分けるのは、5桁の郵便番号やバーコードのように「70年代以降」に押し出す手がかりと、「(Seine)」や S.G.D.G. のように「60年代の終わりより前」に寄せる手がかりです。どれも読めないときは、50年代か60年代か、60年代か70年代かを決められません。当店の商品名に「50-60s」「60-70s」のような幅が多いのは、このためです。

⑧ サイズの選び方 — 身幅と着丈の実寸で

色の抜けた青いコットンツイルのフレンチワークジャケットの全体

60-70s のフレンチワークジャケット。身幅55cm・着丈68cm。

当店は、平らに置いて測った身幅・着丈・肩幅・袖幅を、商品ページに書いています。年代よりも先に、この数字を見てください。

いちばん確かなのは、手持ちの上着で、ちょうどよいと思う1着を平らに置いて、身幅と着丈を測ることです。その数字を、商品ページの実寸と比べます。フレンチワークジャケットは、中にシャツやニットを着ることが多い上着です。中に着るものの分だけ、身幅に余裕を見てください。

同じ形に見えても、寸法は1着ずつ違います。この記事に写真を載せた6着でも、身幅は52〜63cm、着丈は65〜75cmと幅がありました。一部の商品ページには、平置きの実寸から機械的に出したサイズ感の目安も載せています。

タグに表記サイズ(数字やM・Lなど)があっても、実寸の代わりにはなりません。⑤に書いたとおり、フランス軍の表記は着る人の体の寸法の目安です。サイズの表し方は国ごとにも違うので、どのタグでも、最後は平らに置いて測った実寸で決めてください。

⑨ 商品名と商品ページの読み方 — 年代は10年単位の目安

2026年10月28日時点で、当店の商品名に「フレンチワークジャケット」と「60s」「50-60s」「60-70s」のどれかが入った在庫は81着でした。内訳は、50-60s が52着、60s が17着、60-70s が12着です。値段は6,000円から24,500円まででした。

商品名に入っている言葉で数えると、コットンツイルが61着、モールスキンが3着、Metis(綿と麻)が2着。刺繍タグが13着、フランス軍が31着です。モールスキンで探している方は、数が少ないことを頭に置いてください。フランス軍は、⑤に書いたとおり見立てを含みます。

商品ページを見るときは、次の順がおすすめです。まず身幅と着丈の実寸。次にタグの接写の写真で、①〜④の文字が読めるか。最後に年代の表記です。年代は10年単位の目安で、幅で書いてある品は、どちらかに決めきれない個体です。どれも一点物で、同じものは二つとありません。

いま買える品は、この記事のいちばん下に並べています。ほかの在庫はFRENCH WORK カテゴリにあります。

よくある質問

Q. 60年代のフレンチワークジャケットは、どこを見れば分かりますか?
A. タグの文字です。洗濯記号があれば1963年以降、町名の前の5桁の郵便番号があれば1972年6月以降のように、片側だけが言えます。ボタンや生地からは60年代とは言えません。

Q. 洗濯表示が無ければ、60年代より前の古いものですか?
A. そうとは言えません。作業着にはもともと洗濯表示が付いていないことも多く、付いていても落ちたり切られたりします。

Q. 白いタグはフランス軍ですか?
A. フランス軍の官給品の可能性が高い、というのが当店の現場での見立てですが、一次資料での裏付けはまだありません。年代の手がかりにもなりません。

Q. サイズはどう選べばいいですか?
A. 手持ちの上着を平らに置いて身幅と着丈を測り、商品ページの実寸と比べてください。表記サイズは、フランス軍の表記なら着る人の体の寸法の目安で、服の実寸ではありません。

あわせて読む

・フレンチワークの見分け方・完全ガイド
・フレンチワークのブランド図鑑
・Adolphe Lafont(アドルフ・ラフォン)のタグと年代
・SANFORタグで年代は読めるか
・日に焼けたフレンチワークジャケット

写真はすべて当店の撮影です。年代の手がかりは、当店がフランスの制度(法令・政令)と各社の公式の沿革で確かめたものだけを使い、確かめられていないものは書いていません。

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60年代前後のフレンチワークジャケットです。(2026年10月の更新時点で販売中の一点物です。売り切れの際はご容赦ください)

・50-60s SAVO 刺繍タグ モールスキン フレンチワークジャケット
・50-60s フランス軍 モールスキン フレンチワークジャケット
・50-60s フランス軍 刺繍タグ Metis フレンチワークジャケット
・60-70s サンフェード コットンツイル フレンチワークジャケット
・60-70s BEAU-FORT 刺繍タグ Vポケット フレンチワークジャケット
・50-60s Le Suns Pareil フレンチワークジャケット / 身幅52 着丈75cm
・60-70s SONORCO 刺繍タグ グリーン コットンツイル フレンチワークジャケット
・50-60s フランス軍 コットンツイル フレンチワークジャケット

ほかの在庫はFRENCH WORK カテゴリ、Outerwear カテゴリに並んでいます。