2026/10/09 22:45
Adolphe Lafont(アドルフ・ラフォン)のタグで年代は分かるのか。当店が扱ったラフォンのうち、商品ページにタグの写真が残っている27着を1着ずつ読みました。タグは5種類に分かれます。ただ、どの種類が何年代のものかを示す公式の記録は見つかっていません。タグの文字から言えるのは「◯年以降」という片側だけです。実物写真とあわせて紹介します。

今回読んだ27着でいちばん値段が高い1本。ブラウンのモールスキンのパンツです。腰裏に「ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」のタグが付いています。
まず結論 — タグは5種類。意匠では年を決めず、文字から片側だけ読む
当店の27着のタグは5種類。いちばん多いのは、赤地に白い楕円の「Adolphe Lafont SA」で13着。
タグの種類と年代を結びつける公式の記録は見つかっていない。当店はタグの意匠だけで年代を決めない。
文字から出せるのは片側だけ。「SANFOR」があれば1936年以降、洗濯の絵表示があれば1963年以降、QRコードがあれば1994年以降。「1844」は店ができた年で、服を作った年ではない。
この記事の範囲 — 完全ガイドとの違い
フレンチワーク全体の見どころ(生地・作り・色・補修)は、フレンチワークの見分け方・完全ガイドにまとめました。この記事はその続きで、Adolphe Lafont のタグだけを扱います。
当店の在庫表に Adolphe Lafont(または LAFONT)と記録のある個体は57着あります。そのうち、当店のBASEに商品ページが残っていたのは27着でした(2026年10月9日時点で販売中19着・売り切れ8着)。この27着は、すべてブランド名の入ったタグを写真で読めました。残りの30着は商品ページが無く、今回は読めていません。
読んだのは、ブランド名が入ったタグ(表のタグ)と、その横や下に付く小さなタグです。読めた文字だけを書き写し、隠れている文字や薄れた文字は推測で埋めていません。
ラフォンはどんな会社か — 「1844」は祖父の店の年
ラフォン公式の沿革によると、始まりは1844年です。アドルフの祖父ルイ・ラフォンが、リヨンに生地の店を開きました。1844年創業という点は、フランス語版ウィキペディアも同じです。
公式の沿革では、アドルフ・ラフォン本人は1870年生まれ・1952年没とされています。家業を継いだアドルフが「Adolphe Lafont」の名前を登録し、ひと目で分かるラベルを作ったのが1896年。その後、1904年にリヨンのモンプレジール地区に工場の土地を買い、1919年には隣町のヴィルールバンヌにも工場を建てた、と書かれています。
「1844年にアドルフ・ラフォンがサロペットを発明した」と書く資料もあります。ただ、公式の沿革ではアドルフは1870年生まれで、年が合いません。当店は、1844年を「祖父が店を開いた年」として扱います。服を作った年でも、タグが生まれた年でもありません。
会社はその後、持ち主が何度か替わりました。2000年に、のちに Kwintet と名乗るデンマークの作業服グループの傘下に入ったとされます。2016年には、フランス・グレゼの作業服メーカー Cepovett(セポヴェット)が買い取りました。いまも「Lafont」の名前で新品の作業服を作って売っています。ラフォンのタグが付いているだけでは、古い服だとは言えません。
27着のタグは5種類
① 「ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」 6着(うち2着は職人の絵と「SANFOR」入り)
② 筆記体の「Adolphe Lafont / série supérieure / lyon」 3着
③ 赤地に白い楕円の「Adolphe Lafont SA」 13着
④ 赤地に白い活字体の「ADOLPHE LAFONT」 3着
⑤ 赤地に「LAFONT」+白いタグの四角いマーク 2着
①〜⑤の番号は、この記事で説明するために当店が付けたものです。ラフォンの公式な呼び名ではありません。並べた順番も、古い順だと確かめたものではありません。
① 「ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」 — 6着

冒頭の1本のタグ。黒地に赤い文字で「ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」。右端に筆記体の頭文字のマークが入ります。

グレーのコーデュロイのパンツ。生成りの地に同じ3行が赤で入っています。タグの左の金具には「LAFONT」の文字が読めます。

ブラウンのコーデュロイのパンツ。同じ3行の上に「VELOURS SOUPLE」の1行が足されています。

もう1本のコーデュロイにも「VELOURS SOUPLE / ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」。
MARQUE DÉPOSÉE(マルク・デポゼ)は「登録商標」という意味です。LYON は本拠地のリヨン。VELOURS SOUPLE(ヴルール・スープル)は直訳すると「やわらかいベルベット」で、この1行が入っていた2着はどちらもコーデュロイのパンツでした。
公式の沿革では、名前を登録したのが1896年です。そこから言えるのは「このタグは1896年より前のものではない」までで、年代を絞る役には立ちません。

ごま塩の生地のアトリエコート(売り切れ)。黒地に2人の職人の絵が入り、「ADOLPHE LAFONT / LYON / MARQUE DÉPOSÉE」の下に白い文字で「GARANTI SANFOR IRRÉTRÉCISSABLE」。

ブルーのパンツ(売り切れ)にも同じ絵入りのタグ。
6着のうち2着は、2人の職人の絵が入ったタグでした。下の行の GARANTI … IRRÉTRÉCISSABLE は「縮まないことを保証」という意味で、あいだに SANFOR の文字が入っています。
SANFOR(サンフォー)は、防縮加工の登録商標です。米国の商標の登録記録では、SANFOR の最初の使用は1936年10月5日、登録は1937年2月9日。だからこの2着は、1936年より前のものではないと言えます。上限は出ません。ラフォンの公式サイトは、いま売っているパンツの生地にも「Sanfor® 加工」と書いているからです。
② 筆記体の「Adolphe Lafont / série supérieure / lyon」 — 3着

ブラウンのパンツ。黒地に赤い筆記体で「Adolphe Lafont」、下に白い小さな文字で「série supérieure」「lyon」。

ブルーのモールスキンのパンツ。同じ図柄のタグの下に、白い小さなタグ「SANFOR / marque déposée / NE RÉTRÉCIT PAS」。

ブルーのジャケットのポケット口。同じ筆記体のタグで、中央の文字は白い小さなタグの切れ端で隠れています。
série supérieure(セリ・シュペリユール)は、直訳すると「上級のシリーズ」です。3着とも、ブランド名は筆記体で、リヨンは小文字の「lyon」でした。
ここで訂正があります。完全ガイドでは、このタグを「série intérieure」と書いていました。そのときの写真は中央の文字が小さなタグで隠れていて、読み違えていました。文字がすべて見える今回の2着で確かめると、正しくは série supérieure です。
白い小さなタグの NE RÉTRÉCIT PAS は「縮みません」という意味です。SANFOR の文字があるので、①と同じく1936年より前のものではないと言えます。
③ 赤地に白い楕円の「Adolphe Lafont SA」 — 13着

このタグの個体でいちばん値段が高い、コーデュロイのジャケット。裏地はチェックです。

そのタグ。赤地に白い楕円で「Adolphe Lafont」、右下に®、下に小さく「SA」。脇に縦書きで「MADE IN FRANCE」。横の白い小さなタグはサイズの「50」。

ブルーのジャケット。楕円の下に「QUALITÉ SUPÉRIEURE」の1行が加わり、横に「SANFOR / marque déposée / NE RÉTRÉCIT PAS」の白いタグ。

別のブルーのジャケット(売り切れ)。「QUALITÉ SUPÉRIEURE」の行は無く、白いタグは同じ「SANFOR」。

ブルーのオーバーオール。こちらは「MADE IN FRANCE」が楕円の上に横書きで入ります。

オーバーオールの胸当ての内側。上に「MADE IN FRANCE」、下に「QUALITÉ SUPÉRIEURE」。

ブルーのパンツ。「MADE IN FRANCE」は脇に縦書き。白いタグが2枚付き、1枚は「SANFOR」、もう1枚は「M 48」。

ブラックのコーデュロイのパンツ。横の白い小さなタグはサイズの「46」。

ブルーのパンツ。楕円の下に「QUALITÉ SUPÉRIEURE」、脇に「MADE IN FRANCE」。

グリーンのパンツ。同じ楕円の図柄ですが、織り目の粗いタグです。横の白いタグは文字がかすれて読めません。
27着のうち13着がこのタグでした。品目は、ジャケット5着・パンツ5着・オーバーオール3着。楕円の中の「Adolphe Lafont」は、線の細い独特の書体です。
13着の中にも違いがあります。「MADE IN FRANCE」が脇に縦書きのものが8着、楕円の上に横書きのものが4着、縁の文字が読めないものが1着。「QUALITÉ SUPÉRIEURE」(上級の品質)の行があるのは5着でした。「SANFOR」の白いタグが読めたのは4着です。
楕円の下の「SA」は、13着のうち11着で読めました(残りの2着は、縫い糸がかかっている、または写っていない)。SA は société anonyme(ソシエテ・アノニム)の略で、株式会社にあたる会社の形です。いまもある形なので、SA の文字だけでは年代は出ません。ラフォンがいつ SA になり、いつ SA でなくなったかは、確かめられていません。
当店は商品名で、このタグの個体に1950年代から70年代までの幅で年代を付けています。これは生地や作りから見た目安で、タグを根拠にしたものではありません。
④ 赤地に白い活字体の「ADOLPHE LAFONT」 — 3着

ブラックのモールスキンのパンツ。赤地に白い線の枠、その中に大文字で「ADOLPHE LAFONT」。下の白いタグには国別のサイズ表が付いています。

ブラックの太畝コーデュロイのパンツ(売り切れ)。同じ図柄のタグです。

もう1本の太畝コーデュロイ(売り切れ)。白いタグに「ENTREJAMBE / INSIDE LEG / SCHRITTLANGE」と、股下を3つの言葉で書いています。

1本目の裏側のタグ。組成は「BAUMWOLLE」(ドイツ語で綿)まで読め、下に洗濯の絵表示が5つ並びます。
筆記体でも楕円でもなく、大文字の活字体です。3着とも、ブランドのタグの下に白いタグが付いていました。サイズは「F / D / B」のように国の頭文字ごとに書き分けてあり、組成や股下もフランス語・英語・ドイツ語が並びます。フランス国内だけでなく、周りの国でも売る前提のタグと読めます。
洗濯の絵表示は、欧州の団体 GINETEX(ジネテックス)の記号です。GINETEX は1963年3月にパリで設立されました。この絵表示があれば、1963年より前のものではないと言えます。ここでも出るのは片側だけで、それ以上に年を絞れる文字は、3着の写真からは読めませんでした。
⑤ 赤地に「LAFONT」+四角いマーク — 2着

ブラックのモールスキンのパンツ。赤いタグは「LAFONT」だけ。白いタグに「Ref : LA -10872KC9」「Taille : 50」「PANTALON-LOUIS」とあります。

同じ1本の白いタグ。四角いマークの下に「LAFONT」。

白いタグの続きには、バーコードとQRコードが印刷されています。

もう1本(売り切れ)も同じ作りのタグ。「Ref : LA -10872KC9」「Taille : 44」「PANTALON-LOUIS」「110 - NOIR」。
2着は、名前が「LAFONT」だけになったタグでした。白いタグの「Ref : LA -10872KC9」「PANTALON-LOUIS」は、型番と商品名です。ラフォンの公式サイトを見ると、いま売っているモールスキンのパンツ「LOUIS」の型番が、同じ LA-10872KC9 でした。
1本にはQRコードも付いています。QRコードは、日本のデンソー(現デンソーウェーブ)が1994年に発表したものなので、この1本は1994年より前のものではないと言えます。
当店はこの2本を、商品名で「90s」「00s」としていました。けれども、型番はいまの製品と同じで、QRコードも付いています。古く見積もっていた可能性が高いので、年代の表記を見直します。白いタグには「08/22」「35/15」のような数字もありますが、意味を確かめられていないので、年とは読みません。
名前が似た別のメーカー — 「Claudius Lafond」

生成りの地に青い筆記体で「Claudius Lafond」。上に「ANCIENNE MAISON M.BOUSS… & C.LAFOND」、右下に「VILLEFRANCHE」と読めます。
当店が「Claudius Lafont」の名前で出しているオーバーオールがあります。タグを読み直すと、綴りは Lafond で、末尾が d でした。町の名前もリヨンではなく VILLEFRANCHE(ヴィルフランシュ)です。Adolphe Lafont とは別の作り手のタグと読めるので、27着には数えていません。商品名の綴りは直します。
タグの文字から言えること・言えないこと
言えること(どれも片側だけ)
・「SANFOR」の文字 … 1936年以降(米国の商標の登録記録)
・洗濯の絵表示 … 1963年以降(GINETEXの設立)
・QRコード … 1994年以降
・「MARQUE DÉPOSÉE」 … 1896年以降(公式の沿革による登録の年)
言えないこと
・「SANFOR があるから古い」 … いまの製品の生地にも使われています
・「LYON とあるからリヨンの工場で縫った」 … タグが示すのは本拠地の名前までです
・「SA があるから◯年代」 … SA はいまもある会社の形です
・「タグが無いから古い」「文字が無いから古い」 … タグは取れますし、文字は薄れます
・筆記体・楕円・活字体といった意匠の違いから年を決めること … 切り替わった年の記録が見つかっていません
サイズは実寸で確認 — 「46」「48」「50」はフランスのサイズ
③のタグの横には、「46」「50」「M 48」といった小さなサイズのタグが付いていました。④の白いタグは、同じ1本を「F 42 / D 46 / B 42」と書いています。国ごとに数字の振り方が違う、ということです。
どの数字も、日本のサイズやインチとは別のものです。古着は洗いで縮み、裾を上げてある個体もあります。当店は商品ページに実寸を載せています。タグの数字だけで選ばず、手持ちの1着と実寸で比べてください。
当店の表記方針
タグは、読めた文字をそのまま記します。タグの意匠だけで年代は決めません。年代は、SANFOR や洗濯の絵表示のように裏の取れた手がかりがあるときだけ「◯年以降」と片側で書きます。それ以外は、生地や作りから見た10年単位の目安にとどめます。読めないものは「読めない」と書きます。読み違いが分かったときは直します。
この記事の個体で、いま買えるもの
記事に載せたタグの種類ごとに、在庫のある個体を並べました(2026年10月9日時点で販売中の一点物です。売り切れの際はご容赦ください)。
①(VELOURS SOUPLE) コーデュロイ ブラウン パンツ W32
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よくある質問
Q. Adolphe Lafont のタグで年代は分かりますか?
A. タグの意匠だけでは決められません。当店の27着のタグは5種類に分かれましたが、どの種類が何年代かを示す公式の記録は見つかっていません。文字から言えるのは「SANFOR があれば1936年以降」のような片側だけです。
Q. タグの「LYON」「MARQUE DÉPOSÉE」は何を意味しますか?
A. LYON は本拠地のリヨン、MARQUE DÉPOSÉE は「登録商標」です。公式の沿革では名前の登録が1896年なので、1896年より前のものではない、とは言えますが、年代を絞る役には立ちません。
Q. 「SANFOR」のタグが付いていれば古いものですか?
A. そうとは言えません。SANFOR は防縮加工の登録商標で、米国の登録記録では最初の使用が1936年です。1936年より前のものではない、とは言えますが、ラフォンのいまの製品の生地にも使われているので、上限は出ません。
Q. 「1844」はラフォンの服が作られた年ですか?
A. いいえ。公式の沿革では、1844年はアドルフの祖父ルイ・ラフォンがリヨンに店を開いた年です。服を作った年でも、タグが生まれた年でもありません。
Q. 「LAFONT」とだけ書かれたタグは古着ですか?
A. 新しい個体の可能性が高いタグです。当店の2着は、白いタグの型番がいま公式サイトで売られているパンツ「LOUIS」と同じで、1着にはQRコード(1994年以降)が付いていました。
※写真はすべて当店のBASE商品ページの自社撮影です。対象は、2026年10月9日時点で商品ページが残っていた Adolphe Lafont の27着(販売中19着・売り切れ8着)です。
※出典: Lafont 公式サイト「180 years of history」(沿革)・同サイトの商品ページ「LOUIS」/フランス語版ウィキペディア「Adolphe Lafont」/CEPOVETT 公式サイト/米国特許商標庁の登録記録(SANFOR・登録番号343178)/SANFOR GmbH 公式サイト/GINETEX 公式の50周年誌/デンソーウェーブ公式「QRコード開発ストーリー」。
※年代はすべて「◯年以降」という片側の目安で、製造年を1年単位で断定するものではありません。
