2026/10/28 19:51
OG-107 ベイカーパンツの年代は、形よりタグの文字で読みます。契約番号の頭がDSAなら1962〜77年の契約、11桁の在庫番号なら1974年以前の傾向です。当店には2026年10月28日時点でOG-107が12本、OG-507が14本あります。
文と写真 ib2(青森の古着店) / 2026年10月28日の在庫をもとに作成

OG107 ベイカーパンツ(商品名 初期型 1st)の全体。ウエスト平置き43cm。
まず結論 — 型は作りで目安をつけ、年はタグで読む
① OG-107(綿サテン)と OG-507(ポリエステルと綿)は色ではなく、タグの品名と黄色いタグで分けます。
② 年が言えるのは契約番号(DSA・DLA と2桁の年度)と在庫番号の桁数だけで、どれも片側か幅の目安です。
③ フラップの形と腰のタブは型の目安まで、ボタンかジッパーかは手がかりにならず、どれも年代の決め手にはしません。
この記事は、OG-107 のベイカーパンツを型ごとに見分けたい方に向けて書きました。米軍パンツ全体の話(フィールドパンツとの違い・タグの無い個体の書き方)は米軍パンツ(ベイカーパンツ)の年代判別・完全ガイドにまとめています。ここでは OG-107 と OG-507 に絞り、当店にいまある実物のタグを1枚ずつ読んで、何が言えて何が言えないかを確かめます。
先に呼び名の話をしておきます。「ベイカーパンツ」は日本の古着の店でよく使われる呼び名で、型の名前でも規格の名前でもありません。どこから来た呼び名なのかも、当店の調べでは分かっていません。タグに書かれているのは「TROUSERS, UTILITY」(作業用のズボン)のような品名です。この記事では、商品名に合わせてベイカーパンツと書きます。
① 型の並び — Type I・II・III と、1975年からの OG-507
当店の資料にある型の並びは次のとおりです。
Type I … 1952〜63年
Type II … 1963〜64年
Type III … 1964〜89年
生地は1975年に、綿サテンの OG-107 から、ポリエステルと綿を混ぜた OG-507 へ切り替わりました。OG-107・OG-507 の系統は、1989年に BDU(迷彩の戦闘服)へ置き換わって終わります。
OG-107 と OG-507 は、色がほぼ同じです。写真の色味で見分けることはできません。見分けるのは生地の手ざわりとタグで、OG-507 には内側に黄色いタグが付きます。
型の年は、どれも「その型が作られていた期間」です。手元の1本がいつ作られたかは、型だけでは決まりません。1本ごとの年を絞れるのは、②以降で読むタグの文字です。
② 後ろポケットのフラップと腰のタブ — 初期の型の目安(年は出さない)

OG107 ベイカーパンツ(商品名 初期型 1st)の後ろ。腰の両脇にボタン留めのタブ。

OG107 ベイカーパンツ(商品名 1st)の後ろ。こちらも腰の両脇にタブ。
当店の資料では、型をポケットのフラップの形で分けています。長方形なら Type I、角を落とした形なら Type II、先が尖っていれば Type III です。ただ、当店の写真では、どの個体も角の形をはっきり見分けきれませんでした。だからこの記事では、フラップの形で個体の型を決めていません。フラップは別の布に付け替えられていることもあり、当店の別の古着でも、フラップだけが別布の個体がありました。
もう1つの目安が、腰の両脇のタブです。資料には「Type III でウエストのタブが無くなった」と書かれています。ただし、この話は当店の調べでは、一次資料までたどれていません。だから、タブがあるから1964年より前、とは言いません。言えるのは「初期の型の特徴と合う」までです。
この記事に載せた商品名「1st」の3本は、どれも腰の両脇にタブがあります。一方で、契約番号が DSA100-72 の OG-107 や、OG-507 の3本には、写真で見るかぎりタブがありません。並べると型の違いは見えますが、年はやはりタグで確かめます。タブが無いことから「後の型」と決めることもしません。
③ タグの品名 — COTTON SATEEN は OG-107、TYPE I の意味は確かめられていない

OG-107 ベイカーパンツ 34/35のタグ「TROUSERS, UTILITY, / COTTON SATEEN, OG-1… / DSA100-72-C-1224 / 34 x 35」。

OG107 ベイカーパンツ 36/31のタグ「COTTON, SATEEN / OG 107, TYPE I, CLASS 1 / CONTRACT NUMBER 7248…」と、綿100%の表示。
型を確かめるいちばん確かな方法は、タグの品名を読むことです。「COTTON SATEEN」と「OG-107」が並んでいれば綿サテンの OG-107、「DURABLE PRESS」「OG-507」があればポリエステルと綿の OG-507 です(④の黄色いタグ)。
下のタグには「TYPE I, CLASS 1」とあります。ここで気をつけたいのは、この TYPE I を、①のフラップで分ける Type I(1952〜63年)と同じ意味だと読まないことです。当店の別の1本では、DSA100-71 の契約番号と並んで「TYPE I」と書かれていました(前の記事で紹介した個体)。1970年代の契約のタグにも TYPE I が出てくるので、1952〜63年の Type I とは別のものを指していると考えるのが自然です。タグの TYPE や CLASS が何を分けているのかは、当店の資料では確かめられていません。だから、このタグの TYPE I からは年代を言いません。
このタグの契約番号は「CONTRACT NUMBER 7248…」で、頭に DSA などの文字がありません(最後の桁は糸に隠れて読めません)。④で読む頭の文字が無いので、契約番号からは年代帯が出ません。同じ1本の別のタグにある11桁の在庫番号「8405-082-6615」が、⑤で読む手がかりになります。
④ 契約番号 — DSA は1962〜77年、DLA は1977/78〜93年の契約

OG507 ベイカーパンツ 32/33の黄色いタグ「TROUSERS, MAN'S UTILITY, POLY/CTN. / DURABLE PRESS, OG-507 / DLA100-80-C-3424 / GLENN BERRY MFRS., INC.」。

OG507 ideal ベイカーパンツ 32/29の黄色いタグ「TROUSERS, UTILITY, / DURABLE PRESS, OG-507 / DLA100-87-C-0393 / 50% POLYESTER 50% COTTON / COASTAL INDUSTRIES, INC.」。
1本ごとの年をいちばん強く絞れるのが、契約番号です。頭の文字は、契約した役所の名前で、時代順に変わりました。DSA なら1962〜77年、DLA なら1977/78〜93年の契約です。役所の名前が変わったのは1977年1月1日ですが、ラベルの切り替えは77〜78年の契約分からなので、境目は幅で扱います。
頭の文字の後ろの2桁は、契約の会計年度です。作られた年ではありません。契約から生産までは数年ずれることがあります。さらに、1976年までのアメリカの会計年度は7月に始まるので、2桁の年は暦の年と半年ずれます。たとえば当店の OG-107 の「DSA100-72-C-1224」は、1971年7月から1972年6月までに結ばれた契約、と読みます。72年製とは読みません。
2桁の年の次の英字(ここでは C)は、契約の書類の種類を表す記号です。Cotton の C でも、年の記号でもありません。
当店の在庫で読めた契約番号を並べると、次のとおりです。
DSA100-72-C-1224 … OG-107・1971年7月〜72年6月の契約
DLA100-80-C-3424 … OG-507・80年度の契約
DLA100-82-C-0693 … OG-507・82年度の契約
DLA100-87-C-0393 … OG-507・87年度の契約
DSA の番号は OG-107 に、DLA の番号は OG-507 に付いていて、①の1975年の生地の切り替えと食い違いません。
⑤ 在庫番号の桁 — 11桁なら1974年以前の傾向

OG107 ベイカーパンツ(商品名 1st)のタグ「LARGE / 8405-222-1946」。

OG-507 ベイカーパンツ 32/31のタグ「32 x 31 / 8405-00-610-2619」。
サイズの下に刷られた「8405-…」は、在庫番号です。11桁の古い形(FSN)から、13桁の形(NSN)へ、1974年9月30日に切り替わりました。13桁の形では、4桁の後に国の番号が入り、アメリカは「00」です。
上の「8405-222-1946」は11桁です。11桁の番号だけが書かれていれば、おおむね1974年以前の傾向と言えます。下の「8405-00-610-2619」は13桁で、切り替えの後の形です。④の2本の OG-507 も「8405-00-610-2620」「8405-00-610-2618」と13桁でした。
この手がかりも片方向です。在庫番号はタグごと洗濯で消えることがあるので、番号が無いことからは何も言えません。また、頭の「8405」は被服の分類の番号で、型も年代も表しません。
⑥ 黄色いタグと洗濯の注意書き — OG-507 のしるし
④の2枚のように、OG-507 の内側には黄色いタグが付きます。品名に「DURABLE PRESS」(しわになりにくい加工)と「POLY/CTN」「50% POLYESTER 50% COTTON」が並び、その下に洗濯の注意書きが続きます。
洗濯の注意書き(ケアラベル)は、民間の品に寄る弱い手がかりとされます。けれども、この黄色いタグのように、契約番号と同じタグに注意書きが刷られた官給のラベルもあります。当店は、洗濯の注意書きや、ブランドのタグのような1つの手がかりだけで「民間の品」とは決めません。いくつかの手がかりが重なったときだけ、民間寄りと書きます。反対に、契約番号や在庫番号が無いことも、実物でない証拠にはなりません。洗濯で消えることがあるからです。
⑦ ボタンかジッパーか・色・刻印 — 年代は言えない

OG507 ベイカーパンツ 32/33の前のジッパー。引き手に「SCOVILL」の刻印。
この記事に載せた8本では、OG-107 の前はボタン、OG-507 の前はジッパーでした。けれども、前がボタンかジッパーかだけで年代を決めることはしません。ジッパーは交換されることがあり、昔の部品が後から使われることもあります。ジッパーの材質の移り変わりは M-65 の上着の話で、ほかの型にそのまま当てはめることもしません。
上の SCOVILL は、60年代から80年代に多く見られる刻印とされますが、これも補助の手がかりで、刻印だけでは年を決めません。ボタンも付け替えられる部品です。色は②で書いたとおり、OG-107 と OG-507 でほぼ同じなので、色の濃さや褪せ方から年代は出ません。
⑧ 手がかりの一覧 — 見る場所と言える年
COTTON SATEEN・OG-107 の品名 … OG-107(綿サテン)
黄色いタグ・DURABLE PRESS・OG-507 の品名 … OG-507(1975年に切り替わった後の生地)
契約番号の頭が DSA … 1962〜77年の契約
契約番号の頭が DLA … 1977/78〜93年の契約
契約番号の2桁 … 契約の会計年度(1976年までは前の年の7月から)・作った年ではない
在庫番号が11桁 … おおむね1974年以前の傾向
在庫番号が13桁(00入り) … 1974年に切り替わった後の形
フラップの形・腰のタブ … 型の目安まで・年は出さない
タグの TYPE I・CLASS 1 … 意味を確かめられていない・年は出さない
ボタンかジッパーか・色・ジッパーの刻印 … 年代は出ない
どの手がかりも、無いことからは何も言えません。タグは洗濯で薄れ、切られることもあります。
⑨ サイズの読み方 — 表記より平置きの実寸

OG-107 ベイカーパンツ 34/35の全体。ウエスト平置き37cm・股下78cm。
タグのサイズは「34 x 35」のようにウエストと股下のインチで書かれたものと、「LARGE」のような文字のものがあります。資料には、Type III からサイズが実寸の数字になったという話もありますが、これも当店の調べでは一次資料までたどれていません。だから「LARGE だから1964年より前」とも言いません。
どちらの表記でも、選ぶときは平置きの実寸で見てください。上の1本はタグが 34 x 35 ですが、平置きのウエストは37cmで、ウエスト周りにすると約74cmです。36 x 31 の1本は、平置きのウエスト41cm・股下61cmでした。裾を詰めた個体や、洗って縮んだ個体があるので、タグの数字と実寸は合わないことが多いのです。
当店は商品ページに、平置きのウエスト・股上・股下・わたり幅・裾幅を書いています。手持ちのパンツを平らに置いて同じ場所を測り、比べるのがいちばん確かです。
⑩ 商品の見方 — 商品名の年代と「1st」
2026年10月28日時点で、当店の商品名に OG-107 か OG-507 が入ったアメリカ軍のパンツは26本でした。OG-107 が12本で15,000〜32,000円、OG-507 が14本で13,000〜16,000円です。OG-107 のうち、商品名に「1st」か「初期型」が入ったものは3本です。
商品名の年代(60s・70-80s など)は、10年単位の目安です。幅で書いてあるものは、どちらかに決めきれない個体です。契約番号が読める品は、④の読み方で商品名の年代と食い違わないかを確かめられます。
商品名の「1st」「初期型」は、タグで年を確かめた呼び名ではありません。3本に共通して見えるのは、②で書いた腰のタブです。この記事に載せた「1st」の3本のうち、1本はタグが「LARGE」と11桁の在庫番号だけで、残りの2本は写真にタグがありません。また、タグの無い個体の商品名の「実物」は、作りからの見立てを含みます。契約番号や在庫番号が読める品は、商品ページの写真でタグの文字を確かめられます。
商品ページを見るときは、まず平置きの実寸、次にタグの接写(品名・契約番号・在庫番号)、最後に年代の表記の順がおすすめです。どれも一点物で、同じものは二つとありません。いま買える品は、この記事のいちばん下に並べています。ほかの在庫はMilitary カテゴリにあります。
よくある質問
Q. OG-107 と OG-507 は色で見分けられますか?
A. 見分けられません。色はほぼ同じです。タグの品名(COTTON SATEEN か DURABLE PRESS か)と、OG-507 の内側の黄色いタグで見分けます。
Q. 契約番号の「72」は1972年製という意味ですか?
A. いいえ。2桁は契約の会計年度で、作った年ではありません。1976年までは会計年度が7月に始まるので、DSA100-72 は1971年7月から1972年6月までに結ばれた契約と読みます。
Q. タグに TYPE I とあれば、1952〜63年の Type I ですか?
A. そうとは言えません。DSA100-71 の契約番号と並んで TYPE I と書かれた個体もあります。タグの TYPE や CLASS が何を分けているのかは、当店の資料では確かめられていません。
Q. 腰にタブがあれば初期の型ですか?
A. 初期の型の特徴と合う、までです。タブが無くなった時期の話は一次資料までたどれていないので、タブから年は言いません。年は契約番号と在庫番号で確かめます。
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・M-65/M-51の年代判別・完全ガイド
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・ジッパーの刻印で年代は決まるか
写真はすべて当店の撮影です。年代の手がかりは、当店が規格・制度と資料で確かめたものだけを使い、確かめられていないものは「言えない」と書いています。
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OG-107 と OG-507 のベイカーパンツです。(2026年10月の更新時点で販売中の一点物です。売り切れの際はご容赦ください)
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